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2020-06-27 (Sat) 15:38

【宿題編】死者名義の登記と登記識別情報の通知(午後H23-12-ア)

ちょっとした僕の疑問です。

今日は、宿題編として皆さんに考えて頂きたいと思います。

もしかしたら、僕が知らないだけかもしれないので、結論をご存知の方は教えて下さい(笑)

記事的なつながりは、この記事の続きになります。

まずは、事例を確認します。

父A、母B、子が2人(C、D)で、父Aの相続で、依頼人は子Dです。

C、Dともに、結婚しておらず、子供もいないことにしましょう。
(守秘義務の関係上、実際の事例とは変えています)

父Aの財産は、甲土地の1つだけ。

D以外、全員お亡くなりで、亡くなった順番は、①父A→②子C→③母Bです

申請書を書ける人は、この時点で書いてみて下さい。

生前に遺産分割もしていないので、普通に、法定相続の登記をしてもらったらいいです。

申請の件数は何件になりますか?

ちなみに、実務的には、現在土地については、死者名義にする場合には、登録免許税がかかりません。

申請書には、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により(一部)非課税」と記載します。

【答え合わせ編】が出るまで、ちょっと考えてみて下さい。

【答え合わせ編】では、実際に僕が書面で申請した申請書を一部黒塗り修正してお見せしようと思います(笑)

では、1つ目の宿題です。

【宿題①】今回必要となる登記の申請書を作成しましょう。


さて、ここから僕の疑問に入って行きましょう。

1件目の申請で、父Aの相続登記を入れることになります。

この場合、各相続人(亡B、亡C、D)に、登記識別情報は通知されますか?


………(考え中)………


登記識別情報が通知されるのは、「申請人自らが登記名義人となる場合」です(不動産登記法21条本文)。

なので、相続登記を保存行為でやってしまうと、申請人にならなかった他の相続人には登記識別情報は通知されません。

受験勉強では、相続登記の保存行為はよく出てくるのですが、実務でやっちゃうと後でトラブルになります(笑)

さて、今回のケースでは、申請人は、生きているDです。Dは、「申請人自らが登記名義人となる場合」ですから、Dは、自分の持分については、登記識別情報が通知されるのは当然です。

では、亡Bと、亡Cの法定相続分の登記識別情報は通知されますか?お二人とも亡くなっているので、申請人にはなれません。


………(考え中)………


ここは、受験の知識で答えないとダメな部分です。

相続人に通知することが可能ですね。先例があります。


(平成18年2月28日法務省民二第523号)
被相続人名義への所有権の移転の登記が未了のまま被相続人が死亡したため、相続人から当該登記の申請がされた場合に、同登記が完了したときは、申請人である相続人に対し、登記識別情報を通知すべきである。


なので、申請書に、例えば、母Bの持分であれば、「亡B 上記相続人D」って書いておけば、申請人である相続人に対して、登記識別情報が通知されます。

この先例は、売却の事例で過去問でも出ています。午後H23-12-アです。


(午後H23-12-ア)
Aがその所有不動産をBに売却したが,その所有権の移転の登記が未了のままBが死亡し,CがBを相続した場合において,A及びCが共同して当該登記の申請をし,当該登記が完了したときは,Cに対し,B名義の登記識別情報が通知される。

正誤 〇


さて、ここからが僕の疑問です。

同時に、これが宿題にもなります(笑)

【宿題②】仮に、H23-12-アが、こんな問題だったら、どうなりますか?

(午後H23-12-ア 宿題バージョン
Aがその所有不動産をBに売却したが,その所有権の移転の登記が未了のままBが死亡し,及びDがBを相続した場合において,A及びDが共同して当該登記の申請をし,当該登記が完了したときは,CとDのどちらに対し,B名義の登記識別情報が通知されますか?


権利者側は、相続人のうちの1人から申請ができるのですが、どうしても2人とも、「自分が申請人になる!」って譲らなくて、ケンカしちゃった場合、亡くなったBの登記識別情報は、どちらに渡せばいいですか?

絶対にケンカになると思うのですが…(笑)

これが2つ目の宿題です。


さらに、ここからは、僕が実際に悩んだ部分で、一緒に考えてもらいます。

これが3つ目の宿題の話になります。


上で書いた通り、

申請書に、例えば、母Bの持分であれば、「亡B 上記相続人D」って書いておけば、申請人である相続人に対して、登記識別情報が通知されます。

では、亡Cの持分は、どのように申請書に書きましょうか?

母Bと同じように書けば?と思うかもしれませんが、実際に書くと違和感があります。

亡C 上記相続人D

ほら、おかしくないですか?

もう一度、死んだ順番を確認して下さい。

①父A→②子C→③母B」です。

つまり、Cの相続人は、第1順位の相続人はいないので、第3順位の兄弟のDではなく、第2順位の母Bです。

なので、「亡C 上記相続人D」は間違いです。

では、今回の相続登記の1件目の申請で、亡B、亡C、Dの3人分の登記識別情報を受け取るためにはどうやって書けばいいですか?

【宿題③】兄Cの分は、申請書にどのように書けば、登記識別情報がもらえますか?


ということで、宿題を3つ出しておきます。

明日は、週末の皆さんが楽しみにしているあの記事なので、ゆっくり宿題をしてみて下さい(笑)

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最終更新日 : 2020-06-27