本日の「未出の過去問」です。
今回も前回と同じ範囲で、債務不履行による損害賠償を検討してみましょう。
今日の問題は、番外編に入れるか、悩んだ問題です。
前回の番外編では、判例の解釈をどこまで取り込むかで、〇にも、×にも、転びうる、というお話でくくりました。
今日の問題は、判例ではないのですが、〇にも、×にも、転びうる、かもしれません。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
【未出の過去問】(H28-16-エ)
貸金債務について年3パーセントの利率で利息を支払うとの約定がある場合において,貸金債務の遅延損害金について利率の約定がないときは,遅延損害金の額は年3パーセントの利率により定まる。
………(考え中)………
皆さんの解答は、どちらに転びましたか?
では、正誤です。
【正誤】〇(419条1項ただし書)
約定利率(3%)が法定利率(3%)を超えていないので、法定利率の3%で定まる。
おっと、
ちょっと待ったぁ!
って声が聞こえてきましたが、とりあえず、無視して話をすすめます(笑)
この問題は出題当時、「×」で出題されています。
つまり、金銭債務について、改正前民法の法定利率(5%)よりも低い年3%の利息の約定はありますが、遅延損害金について、利率の約定がないので、遅延損害金の額は年5%の法定利率により定まることになることになって、×でした。
ご存知のように、そもそも、債権法の改正によって、法定利率は変動制になっているので、何らかの影響が出ることは予想できますね(笑)
とりあえず、条文を見て考えてみましょうか。
【根拠条文・判例等】(419条1項)
(金銭債務の特則)
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
ちなみに、法定利率の条文は、404条です。ここでは、1項と2項を確認しておきます。
(法定利率)
第404条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。
2 法定利率は、年3パーセントとする。
ということで、約定利率(3%)が法定利率(3%)を超えていないので、法定利率の3%になるという本問は〇と判断できます。
そろそろ、「ちょっと待ったぁ!」の声に耳を傾けないと、炎上しそうですね(笑)
はいはい、皆さんの言いたいことは分かってますよ。
法定利率が3%とは、限らない!ってことですよね。
法定利率は変動します。
今、僕は、3%と決めつけていますが、そうとは限りません。
債務不履行による損害賠償であれば、期限の定めがなければ履行の請求を受けたときに遅滞となるので、その時の法定利率が適用されます。
仮に、その時の法定利率が4%だとか、5%だったとしたら、「約定利率(3%)より、法定利率(4%あるいは5%なら)が超えている」ので、3%ではなく、法定利率の4%あるいは5%が適用されるので、本問は×となります。
まとめると、今は〇でいいでしょうが、そのうち、×にもなりうる、ということで、
今回の設問は、残念ながら「未出の過去問」への認定申請は、却下されました。
ダメだ…また、問題で遊び始めてる…。出題予想記事のように悪ノリしないように、このシリーズは、真面目に書こうと思っているのに、すぐに茶化してしまう、僕の悪いクセです(笑)
記事はこちら→令和2年度司法書士試験に向けての出題予想のカテゴリー
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


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最終更新日 : 2020-06-29