本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
今回は、債権者代位権です。
今年の本試験で、債権者代位権が出題される可能性が高いかは、こちららの予想記事をお読み下さい。
その他の予想記事のカテゴリーはこちら→令和2年度司法書士試験に向けての出題予想のカテゴリー
今日の問題は、シンプルです。間違えたらダメですよ~。
【未出の過去問】(H29-17-イ)
債権者が被代位権利を行使し,その事実を債務者が了知した場合であっても,当該債務者は,被代位権利について,自ら取立てその他の処分をすることができる。
………(考え中)………
基本的ですね。
判例(大判昭14.5.16)の扱いが、民法改正で変更されました。
では、正誤です。
【正誤】〇(民法423条の5前段)
債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。
今回は、
ちょっと待ったぁ!
って声はないですね(笑)
条文を確認しておきましょう。
【根拠条文・判例等】(民法423条の5)
(債務者の取立てその他の処分の権限等)
第423条の5 債権者が被代位権利を行使した場合であっても、債務者は、被代位権利について、自ら取立てその他の処分をすることを妨げられない。この場合においては、相手方も、被代位権利について、債務者に対して履行をすることを妨げられない。
余裕がある方は、民事訴訟法の「重複起訴の禁止(二重起訴の禁止)」を一緒に整理しておくといいと思います。
(民事訴訟法H12-2-ウ)
AがBに対し,債権者代位権に基づきCに代位して提起した貸金返還請求訴訟の係属中に,CがBに対し,同一の貸金債権に関して貸金返還請求の別訴を提起することは,重複起訴の禁止に反する。
債務者Cに権限があるからといって、同じ訴えを起こしていいわけではありません。
「処分権限がある」という話と、「同じ訴えをしてもいいか?」は、別問題です。
同じ人が、権限があるからといって、あちこちに同じ裁判を起こせないのと同じです。
民事訴訟法H12-2-ウの正誤は変わりなく、「〇」です。
債務者は、補助参加や、独立当事者参加の方式で参加できることも変わりありません。
よって、民事訴訟法S59-2-1の正誤も、「〇(最判昭48.4.24)」で変わりありません。
(民事訴訟法S59-2-1)
甲が乙に代位して提起した訴訟が係属中であっても,乙が甲の代位権を争って独立当事者参加をすることは,妨げられない。
ただ、民法上、債務者の処分権限があることになったので、今後、民事訴訟法でも、共同訴訟の議論が出てくることになるでしょうね。
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


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最終更新日 : 2020-07-03