本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
今日の「未出の過去問」は、売主の担保責任に絡みです。
「絡み」と書いたのは、売主の責任のはずが、なぜか、他人物売買の場合に、善意の売主に損害を賠償して解除権を与えて保護する不思議な規定として存在していたあの規定の話です。覚えてますか?(笑)
まずは、問題を解いてみましょう。
【未出の過去問】(H2-7-ア)
他人の権利を売買の目的とした場合には,売主は,契約の当時売却した権利が自己に属しないことを知らなかったときでも,契約を解除することができない。
………(考え中)………
では、正誤です。
【正誤】〇 (旧562条1項削除)
売主は解除することができない。
今回の改正で、旧562条が削除されました。
改正前は、旧562条1項により、「×」でしたが、今回の改正で正誤は「〇」に変わります。
では、旧562条を確認してみましょう。今は、もう存在しない条文です。
【根拠条文・判例等】(旧562条1項)
(他人の権利の売買における善意の売主の解除権)
旧第562条 売主が契約の時においてその売却した権利が自己に属しないことを知らなかった場合において、その権利を取得して買主に移転することができないときは、売主は、損害を賠償して、契約の解除をすることができる。
2 前項の場合において、買主が契約の時においてその買い受けた権利が売主に属しないことを知っていたときは、売主は、買主に対し、単にその売却した権利を移転することができない旨を通知して、契約の解除をすることができる。
2項も一緒に書いてみましたが、懐かしいですね(笑)
この条文は、もう存在しません。
なぜなら、この条文があるからです。
(他人の権利の売買における売主の義務)
第561条 他人の権利(権利の一部が他人に属する場合におけるその権利の一部を含む。)を売買の目的としたときは、売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う。
他人物売買の場合には、「売主は、その権利を取得して買主に移転する義務を負う」となっているのに、売主が解除できるとすると、移転の義務があることと矛盾するからです。
ちなみに、この561条自体も、かっこ書が追加される改正がされているので、確認しておいて下さい。
売主の担保責任の規定は、まだいろいろと過去問に影響を与えていますが、それは順次、ご紹介していきたいと思います。
【同趣旨の出題】
なし
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!
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最終更新日 : 2020-07-09