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2020-07-13 (Mon) 12:06

未出の過去問(その8)午前H15-20-ウ・オ ※同趣旨の問題 H8-5-ウ

本日の「未出の過去問」です。

「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)


今日の「未出の過去問」は、契約の成立に関する問題です。

ちょっと前に自動販売機の契約成立の話を書いたので、契約の成立つながりで、「未出の過去問」として、この問題は、いかがでしょうか?

平成31年の過去問で契約の成立が出たので、意外と手薄になっている範囲かもしれません(笑)

まずは、問題を解いてみましょう。

東京に住むAが,京都に住むBに対し,「今月末までに返事をいただきたい。」との承諾の期間を定めて,売買契約の申込みをした場面のお話です。

【未出の過去問】(H15-20-ウ)
教授: Bが,Aの承諾の期間を定めた契約の申込みに対し,その期間内に到達するように郵便で承諾の通知を出した場合,契約は,どの時点で成立しますか。
学生: 意思表示は,到達しなければ効力が生じませんので,Bからの承諾の通知がAに到達した時点で,AB間に契約が成立することになります。


【未出の過去問】(H15-20-オ)
教授: Bからの承諾の通知が郵便で出されており,Aが,その消印を見て,承諾の通知が郵便事情で遅れたもので,通常であれば承諾の期間内に到達するはずのものであることを知った場合には,契約は成立しますか。
学生: その場合,Aは,Bに対し,承諾の通知が承諾の期間を過ぎて到達した旨の延着の通知を出すことが必要で,これを怠ると,承諾の通知が延着しなかったものとみなされて,契約は成立したことになります。



………(考え中)………



では、正誤です。


【正誤】ウ 〇  オ × 
ウ 承諾の通知が到達したときに契約が成立する(97条1項、旧526条1項削除)
オ 承諾の通知が承諾の期間内に到達してないので、契約は成立しない(523条2項、旧522条1項・2項削除)


さて、今回も削除された条文が影響しています。

条文がなくなったから、正誤が変わるパターンですね。

ウは、隔地者間の契約の成立時期が、発信主義から到達主義となったことは基本的な知識として押さえているかと思います。

消えた条文を確認です。


【消えた条文】(旧526条1項)
(隔地者間の契約の成立時期)
第526条 隔地者間の契約は、承諾の通知を発した時に成立する。

この条文は、もう存在しません。

この条文がなくなったことで、原則通り、97条により到達主義になります。

【根拠条文・判例等】(97条1項)
(意思表示の効力発生時期等)
第97条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。


522条1項も確認しておいて下さい。申込と承諾の合致により契約が成立することを確認した条文です。

(契約の成立と方式)
第522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。


さて、

おそらく、ウは楽勝だと思います。

で、問題はオの設問。

オになると、あやふやな感じの方もおられるのでは?大丈夫でしょうか?

まずは、消えた条文の確認から…。


【消えた条文】(旧522条)
(承諾の通知の延着)
第522条 前条第1項の申込みに対する承諾の通知が同項の期間の経過後に到達した場合であっても、通常の場合にはその期間内に到達すべき時に発送したものであることを知ることができるときは、申込者は、遅滞なく、相手方に対してその延着の通知を発しなければならない。ただし、その到達前に遅延の通知を発したときは、この限りでない。
2 申込者が前項本文の延着の通知を怠ったときは、承諾の通知は、前条第1項の期間内に到達したものとみなす


承諾の通知が延着した場合の効果の規定です。

この条文は、もう存在しません。

なぜなら、今の世の中、通信手段が発達しているでの、承諾の通知が延着すること自体がレアケースでしょうし、承諾の延着のリスクは、申込者ではなく、承諾者に負わせるべきだからです。


【根拠条文・判例等】(523条2項)
(承諾の期間の定めのある申込み)
第523条 承諾の期間を定めてした申込みは、撤回することができない。ただし、申込者が撤回をする権利を留保したときは、この限りでない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。


よって、肢オは契約が成立しません。

ちなみに、この523条2項は、521条2項と同じです。

(承諾の期間の定めのある申込み)
第521条 承諾の期間を定めてした契約の申込みは、撤回することができない。
2 申込者が前項の申込みに対して同項の期間内に承諾の通知を受けなかったときは、その申込みは、その効力を失う。

521条2項が、523条2項に動いて、521条1項が、申込者が撤回権を留保した場合の例外を明記した上で、523条1項にお引越しです。

ややこしい…(笑)

ちなみに、改正後の521条は、契約締結の自由と内容形成の自由の条文になっています。


(契約の締結及び内容の自由)
第521条 何人も、法令に特別の定めがある場合を除き、契約をするかどうかを自由に決定することができる。
2 契約の当事者は、法令の制限内において、契約の内容を自由に決定することができる。


意外と、条文のチェックが手薄になっていると思いますので、軽く確認していた方が精神衛生上、安心です(笑)

ただ、H31-18で、隔地者間の契約の成立の問題が出題されているので、サイクル的には、出題自体は期待薄だと思います。

では、最後に同趣旨の問題です。


【同趣旨の出題】

発信主義か、到達主義か、の問題ですね。

AB間の契約締結交渉において,AがBに対して書面を郵送して申込みの意思表示をした。その際,Aは承諾の通知を受ける期間の末日を2月5日と定めた。Bが承諾の通知を2月1日に郵送して発し,これが2月3日に到達した場合,契約は2月3日に成立する。(H8-5-ウ)


では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


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最終更新日 : 2020-07-13