続 まらやの司法書士合格ブログ~宅建ネタも

Top Page › 未出の過去問 › 未出の過去問(その9)午前H5-11-エ ※同趣旨の問題 H4-3-5
2020-07-14 (Tue) 07:18

未出の過去問(その9)午前H5-11-エ ※同趣旨の問題 H4-3-5

本日の「未出の過去問」です。

「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)


今日の「未出の過去問」は、タダであげるよ、シリーズ。

タダ(無料)

とっても、いい響きの言葉です(笑)

タダであげるんだから、売主と同じように担保責任を負わせるのはカワイソウ、って話がベースになります。

まずは、問題を解いてみましょう。


【未出の過去問】(H5-11-エ)
甲が乙に対して贈与をする場合の法律関係に関して,甲は,贈与に係る建物の契約内容の不適合を知りながら,これを乙に告げなかった場合でも,乙に対して責任を負うことはない。




………(考え中)………



では、正誤です。


【正誤】〇 (551条1項)
贈与者は担保責任を負わない


551条は、贈与者の担保責任の規定から、贈与者の引渡義務等へ、規定が変更されています。

最初に書いた、「タダなんだから、担保責任は酷だよね」です。

この贈与の条文が変わることを見越して、先にフライングで削除された条文があります(笑)

時系列的に、こちらの条文から確認しましょう。

令和元年7月1日の相続法の改正で削除された、あの条文です。


【フライング条文】(旧100条削除)
(第三者の権利の目的である財産の遺贈)
第1000条 遺贈の目的である物又は権利が遺言者の死亡の時において第三者の権利の目的であるときは、受遺者は、遺贈義務者に対しその権利を消滅させるべき旨を請求することができない。ただし、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。


令和2年4月1日の債権法の改正で消える贈与者の担保責任551条を見越して、先に削除された条文ですね(笑)

遺贈も、贈与と同じ。タダなんだから、って発想です。

ただし、細かいですが、削除されたこの1000条は、附則の経過措置の条文があります(附則7条2項)。


(遺贈義務者の引渡義務等に関する経過措置)
第7条 附則第1条第3号に掲げる規定の施行の日(以下「第3号施行日」という。)前にされた遺贈に係る遺贈義務者の引渡義務については、新民法第998条の規定にかかわらず、なお従前の例による。
2 第1条の規定による改正前の民法第1000条の規定は、第3号施行日前にされた第三者の権利の目的である財産の遺贈については、なおその効力を有する。


で、遺贈も、遺贈義務者の担保責任の規定から、遺贈義務者の引渡義務へ、進化です(笑)


【消えた条文】(旧998条)
(不特定物の遺贈義務者の担保責任)
第998条 不特定物を遺贈の目的とした場合において、受遺者がこれにつき第三者から追奪を受けたときは、遺贈義務者は、これに対して、売主と同じく、担保の責任を負う。
2 不特定物を遺贈の目的とした場合において、物に瑕疵があったときは、遺贈義務者は、瑕疵のない物をもってこれに代えなければならない。


【進化した条文】(新998条)
(遺贈義務者の引渡義務)
第998条 遺贈義務者は、遺贈の目的である物又は権利を、相続開始の時(その後に当該物又は権利について遺贈の目的として特定した場合にあっては、その特定した時)の状態で引き渡し、又は移転する義務を負う。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。


担保責任の規定から、「タダなんだから、そのまま渡せばいいルール」です(笑)

そして、贈与の規定もアップデート。


【消えた条文】(旧551条1項)
(贈与者の担保責任)
第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない。


この条文は、もう存在しません。

そして、こちらが、「タダなんだから、そのまま渡せばいいルール」です(笑)


【進化した条文】【根拠条文・判例等】(551条1項)
(贈与者の引渡義務等)
第551条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。


今日は、シンプルで簡単ですね。

最後は、同趣旨の問題を。

同趣旨の問題としては、遺贈の問題があります。


【同趣旨の出題】

不特定物を遺贈の目的とした場合は,物に契約内容の不適合があっても,遺贈義務者は,瑕疵がない物に代えることを要しない。(H4-3-5)


では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


応援クリックお願い致します。更新の励みにもなります
にほんブログ村 資格ブログ 司法書士試験へ
にほんブログ村

●TACのホームページでもブログを書いています。
 受験と実務をつなげるブログです。ぜひ。

●受講生時代のブログも残っています。
スポンサーサイト



最終更新日 : 2020-07-14