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2020-07-18 (Sat) 18:44

未出の過去問(その11)午前H19-20-ウ ※同趣旨の問題 H26-18-イ、H4-3-4、S58-7-4

本日の「未出の過去問」です。

「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)


今日の「未出の過去問」は、条文の削除で正誤が変わる、請負から、あの論点です。

ここで、「あっ!アレね!」ってなった方はスルドイ!(笑)

建物の解除に関する問題ですね。

ここで、「あ~、あれかよ…」ってなった方も合格です!(笑)

では、今日の問題を解いてみましょう。


【未出の過去問】(H19-20-ウ)
請負人Aは,注文者Bの注文に基づき建物を建築してBに引き渡し,Bは,この建物をCに売却して引き渡したが,この建物には建築時に既に契約内容の不適が存在しており,B及びCは,各引渡時においていずれもこの建物に瑕疵が存在することを知らなかった。Cは,瑕疵のために契約をした目的を達することができないときは,Bとの契約を解除することができるが,Bは,瑕疵のために契約をした目的を達することができないときでも,Aとの契約の解除をすることはできない。



………(考え中)………



では、正誤です。


【正誤】× (559条、564条、542条1項①)
解除できる。


さて、この問題を語るには、まずは、あの判例を紹介しないとダメでしょう。

最判平14.9.24です。


(最判平14.9.24裁判要旨)
建築請負の仕事の目的物である建物に重大な瑕疵があるためにこれを建て替えざるを得ない場合には,注文者は,請負人に対し,建物の建て替えに要する費用相当額の損害賠償を請求することができる。
全文


改正前は、旧635条ただし書で、建物の解除を認めていませんでした。

請負契約で建物を解除すると、もったいない!(社会経済的損失)って理由ですね。

また、建物を除去するとなると、請負人の負担も大きいです。

従って、建物の場合、解除ができなかったわけですが、

平成14年の判例が事実上、立替費用相当額の損害賠償を認めたため、解除を認めたのと同じレベルの請負人の責任を認めることになっちゃいました。

立替の費用をもらうと、注文者は、建物を壊しますよね。もったいないけど…仕方がない。

だって、使えない建物を、もったいないって理由で使えと言われても、注文者も困ります。

解除できないこと自体、おかしな話だよね、ってことで、旧635条は削除です。


【消えた条文】(旧635条)
旧第635条 仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。


ということで、この条文が削除され、売買に関する条文が準用される(559条)結果、建物の場合でも解除ができることになりました。


【根拠条文・判例等】(559条、564条、542条1項①)
(買主の損害賠償請求及び解除権の行使)
第564条 前二条の規定は、第415条の規定による損害賠償の請求並びに第541条及び第542条の規定による解除権の行使を妨げない。

(催告によらない解除)
第542条 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
① 債務の全部の履行が不能であるとき。

(有償契約への準用)
第559条 この節の規定は、売買以外の有償契約について準用する。ただし、その有償契約の性質がこれを許さないときは、この限りでない。


では、最後に同趣旨の問題です。


【同趣旨の出題】

建物の建築請負契約においては,完成した建物に契約内容の不適合があり,そのために契約をした目的を達することができない場合であっても,注文者は,契約の解除をすることができない。(H26-18-イ)

請負契約において,仕事の目的物に契約内容の不適合があるため契約をした目的を達することができない場合であっても,仕事の目的物が建物であるときは,注文者は,契約を解除することができない。(H4-3-4)

排水管敷設の請負工事に欠陥があって,敷設された排水管をその用途に供することができないことが判明したときは,注文者は,契約を解除することができる。(S58-7-4)

よく出ていますね。

S58-7-4だけが、「建物その他の土地の工作物」の「土地の工作物」の部分で聞いていますね。同じ結論です。

これで、この論点は楽勝でしょう!(笑)

では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


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最終更新日 : 2020-07-18