本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
今日の「未出の過去問」は、詐害行為取消権です。
詐害行為取消権の今年の本試験での出題可能性は、こちらの記事をお読み下さい。
詐害行為取消権は、条文がたくさん追加されていますね。
判例の考え方が変更された部分もあるので、「未出の過去問」対策は、しっかりやっておく必要があります。
特に、「詐害行為取消権の受益者・転得者の要件」、「詐害行為取消権の認容判決の効力が及ぶ者の範囲」あたりは、「未出の過去問」が存在するゾーンです。
さらに、「詐害行為取消権の受益者・転得者の要件」は、不動産登記の記述の対策も含めて、準備をしておく必要もあると思います。
また、「詐害行為取消権の出訴期間」も、大きく考え方が変わっているので、確認しておく必要があるでしょう。
今日は、その中から、「詐害行為取消権の認容判決の効力が及ぶ者の範囲」を見ていきます。
他の部分は、また次回以降…。
では、本日の「未出の過去問」を解いてみましょう。
【未出の過去問】(H30-16-エ)
債権者が受益者に対して詐害行為取消権を行使し,詐害行為を取り消す旨の認容判決が確定した場合であっても,債務者は,受益者に対して,当該詐害行為が取り消されたことを前提とする請求をすることはできない。
………(考え中)………
では、正誤です。
【正誤】× (425条)
請求できます。
判例(大半明44.3.24)は、詐害行為取消権の効力は債務者には及ばないとしていました。
条文上も、旧425条は、「すべての債権者の利益のため」となっていましたね。

(詐害行為の取消しの効果)
旧425条 前条の規定による取消しは、すべての債権者の利益のためにその効力を生ずる。
これが、今回の改正で、債務者にも詐害行為取消権の効力が及ぶことになりました。
【根拠条文・判例等】(425条)
(認容判決の効力が及ぶ者の範囲)
第425条 詐害行為取消請求を認容する確定判決は、債務者及びその全ての債権者に対してもその効力を有する。
債務者が追加されています。
この改正によって、正誤が反対になりますね。「未出の過去問」です(笑)
なお、転得者に対してされた詐害行為取消権の効力は、債務者とその転得者には及びますが、転得者の前の受益者には及ばないことに注意です。
全員及ぶんだよね!って考え方は危険です(笑)
よって、転得者は、詐害行為取消権の結果、自分の前者になる受益者に対して、反対給付の返還等は請求できないのでご注意下さい。
じゃあ~、転得者はどうしたらいいの?って!?
それは、425条の4をご確認下さいね~。
【同趣旨の出題】
なし
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!
たぶん、詐害行為取消権の続きです。たぶん…(笑)
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最終更新日 : 2020-07-20