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2020-08-03 (Mon) 08:25

未出の過去問(その14)午前H22-17-イ ※同趣旨の問題 H19-18-ア,H19-18-エ,H11-5-ウ  

本日の「未出の過去問」です。

「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)



今日の「未出の過去問」は、債権譲渡です。

債権譲渡の今年の出題可能性については、別記事の予想記事をご覧下さい。


債権譲渡の改正もいろいろとありますが、「未出の過去問」として直撃をくらうのは、この論点でしょう。

では、本日の「未出の過去問」です。


【未出の過去問】(H22-17-イ)
譲渡制限の特約のある債権について,譲受人がその特約の存在を知って譲り受けた場合であっても,その後,債務者が債権の譲渡について承諾を与えたときは,その債権譲渡は,譲渡の時にさかのぼって有効となる。



………(考え中)………



では、正誤です。


【正誤】× (466条ⅡⅢ)
承諾によって、さかのぼって有効になるのではなく、常に有効


さて、旧民法の考え方を確認しておきましょう。譲渡禁止特約(旧表現)についての判例がありました。

内容としては、

譲渡禁止特約付債権(旧表現)を譲受人が特約の存在を知って譲り受けた場合でも、その後、債務者が当該債権譲渡につき承諾を与えると、その債権譲渡は譲渡の時にさかのぼって有効となる(最判昭52.3.17、最判平9.6.5)。

こんな感じですね。

これを、根拠に、過去問出題当時は「〇」でした。

つまり、特約の存在について、悪意または重過失によって譲り受けると、債権譲渡が無効となります。

でも、特約の存在は、債務者の利益のためですから、債務者が「いいよ」って言えば、譲渡の時にさかのぼって有効としても構わないわけです。

この点、取引上の安定性から、これが改正されました。

簡単に整理すると、

①譲受人が特約について、悪意または重過失でも、常に有効

②ただ、債務者は譲受人への履行を拒める

③譲受人が悪意または重過失の場合、債務者が譲渡人に弁済すれば譲受人に対抗可

④でも、債務者が譲渡人にも弁済せず、譲受人にも弁済を拒むようなデッドロック状態(閉塞状況)が生じてしまうのを解消するため、譲受人は債務者に相当の期間を定めて譲渡人に履行すべき旨を催告、履行しないなら、債務者は譲受人への履行を拒めない

このような流れですね。

条文を紹介しておきますので、条文でも確認しておいて下さい。


【根拠条文・判例等】(466条)
(債権の譲渡性)
第466条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 当事者が債権の譲渡を禁止し、又は制限する旨の意思表示(以下「譲渡制限の意思表示」という。)をしたときであっても、債権の譲渡は、その効力を妨げられない
3 前項に規定する場合には、譲渡制限の意思表示がされたことを知り、又は重大な過失によって知らなかった譲受人その他の第三者に対しては、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもってその第三者に対抗することができる
4 前項の規定は、債務者が債務を履行しない場合において、同項に規定する第三者が相当の期間を定めて譲渡人への履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、その債務者については、適用しない


債権譲渡は、H31に出題されているので、手薄な方も多いと思います。

条文の知識だけでも確認してもらえたらと思います。

さて、最後に同趣旨の問題です。



【同趣旨の出題】

譲渡制限特約が付されている債権を目的とする質権の設定を受けた者は,当該債権に譲渡制限特約が付されていることを知っていたとしても,有効に質権を取得することができる。(H19-18-ア)

譲渡制限特約が付されている債権について,債務者が事前に譲渡をすることを承諾した場合には,当該譲渡は効力を有する。(H19-18-エ)

AとBとの間に債権の譲渡制限の意思表示がある場合であっても,BがAのCに対する譲渡を追認したときは,Cは,債権を取得することができる。(H11-5-ウ)


では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!


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最終更新日 : 2020-08-03