本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
今日の「未出の過去問」です。
なんか、前回、
「474条の改正も、「未出の過去問」がありますので、次回、ご紹介していきたいと思います。」
な~んて書いたのですが、本日は、違う「未出の過去問」さんが、飛び入り参加されたようです(笑)
割り込みはよくないですが、今回は、不動産登記法の択一の過去問、記述の過去問と、幅広い「未出の過去問」さんなので、VIP待遇で、割り込みを認めます(笑)
では、大物ゲストさんの登場です。
【未出の過去問】(S57-1-オ)
債権者甲に対して,債務者乙のために第三者丙が弁済をする場合に関して,丙が保証人である場合において,丙が弁済をしても,甲のための抵当権の登記に代位の付記登記をしないでいる間に,丁が乙からその不動産の所有権を取得し,その旨の登記をしたときは,丙は,丁に対して甲に代位することができない。
………(考え中)………
では、正誤です。
【正誤】× (旧501条①、イラナイ判例 最判昭41.11.18)
丁が乙からその不動産の所有権を取得し、その旨の登記をしたときでも、丙は、丁に対して甲に代位できる。
さて、まずは、もう必要がなくなった旧条文と判例の話から入りましょう。
旧民法(旧501①)は、「保証人は、あらかじめ代位を付記しなければ担保権につき第三取得者に対して債権者に代位することができない」としていました。
抵当不動産の第三取得者に不測の損害を与えないようにするためです。
そして、判例(最判昭41.11.18)が、「あらかじめ」の内容を「弁済後の第三取得者の登記前」という意味だ、と示していました。
なので、旧民法で解答すると、第三取得者の丁が所有権の登記をうつと、保証人の丙は、代位できなかったわけです。改正前の正誤は「〇」になります。
旧501条1号を確認してみましょう。

(弁済による代位の効果)
第501条 前2条の規定により債権者に代位した者は、自己の権利に基づいて求償をすることができる範囲内において、債権の効力及び担保としてその債権者が有していた一切の権利を行使することができる。この場合においては、次の各号の定めるところに従わなければならない。
一 保証人は、あらかじめ先取特権、不動産質権又は抵当権の登記にその代位を付記しなければ、その先取特権、不動産質権又は抵当権の目的である不動産の第三取得者に対して債権者に代位することができない。
(以下省略)
ところが、この1号が削除されます。
抵当不動産の第三取得者にとっては、抵当権の登記があるわけだから、債権が残っていると考えるのが当然なのでは?となって、
保証人があらかじめ付記登記していなくても、抵当不動産の第三取得者に不測の損害は与えないよね、となって、
旧501①は削除です。
ご存知の通り、この過去問、不動産登記法の方でも出題があります。
不動産登記法の択一と不動産登記法の記述に顔を出しているオオモノ「未出の過去問」さんです。
同趣旨の問題を見てみましょう。
【同趣旨の出題】
次のような登記記録の記録(抜粋)がある甲土地及び乙土地に関して,XがCである場合において,AC間の平成13年4月9日付け金銭消費貸借契約に基づくAの債務につき,DがCと保証契約を締結しており,当該保証契約に基づき,DがCに対して平成23年6月10日に代位弁済したときは,Dは,平成23年7月1日に,代位弁済を登記原因とする甲土地乙区2番の抵当権の移転の登記を申請することができる。(午後H23-19-ウ)

(記述H19-36)各自参照
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!
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最終更新日 : 2020-08-13