本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
さて、今回こそは予告通り、
「474条の未出の過去問だよね。」
と思いきや…
「474条の話をするなら、オレも混ぜてくれ~!」って、
駆け寄ってきた人がいるようです。
この人、関係がある方でしょうか?
とりあえず、事情を聴いてみましょう(笑)
あっ、そうそう!
前々回の「未出の過去問」、同趣旨の出題が抜けてました。ごめんなさい。
こちらので、再確認して下さい。
では、本日の「未出の過去問」です。
【未出の過去問】(H10-6-オ)
A欄に掲げる行為につき,B欄に掲げる者の承諾が必要となる。
A欄 債務者が代物弁済をすること
B欄 債権者
………(考え中)………
では、正誤です。
【正誤】× (482条)
債権者の承諾ではなく、債権者との契約。また、この契約は諾成契約である。
う~ん、個人的には、びみょ~な「未出の過去問」です(笑)
とりあえず、旧482条を確認してみましょう。

(代物弁済)
第482条 債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
旧482条はハッキリと「債権者の承諾を得て」と書かれています。
なので、改正前の条文に従えば、債権者の承諾が要件となっているので「〇」だった問題です。
ただ、びみょ~と書いたのは、改正前から、旧482条は「債権者の承諾を得て」と書かれていますが、これは債権者との契約と解釈されていました。
なので、この点については、特に改正前と改正後で変更はないような気がします。
正誤が変わったというより、従前の解釈通りの結論になった、という感じがします。
おっと、改正後の条文を紹介していませんでした。
ちょっと、482条を見てみましょう。
(代物弁済)
第482条 弁済をすることができる者(以下「弁済者」という。)が、債権者との間で、債務者の負担した給付に代えて他の給付をすることにより債務を消滅させる旨の契約をした場合において、その弁済者が当該他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する。
上で書いた通り、
もともと、「債権者の承諾ではなく、債権者との契約」と解釈されていましたが、この「契約」が「諾成契約」なのか、「要物契約」なのか、あいまいだったわけです。
旧民法の勉強では、「代物弁済は要物契約です!」な~んて、なんの疑いもなく覚えてましたが、
判例の中には、諾成契約に近いものもあって、学者の先生の見解は、分かれる部分でした。
これに決着をつけたのが、改正482条です。
諾成契約で、決着です(笑)
ところで、この問題、474条と、どこが関係あるんでしょうか?
旧482条は、「債務者が」となっていますが、新482条は、「弁済をすることができる者」となっています。
つまり、代物弁済できる者が、条文上、債務者に限られていなんですよね。
「弁済をすることができる者」は、債務者以外の第三者でも、474条で正当な利益を有する者とか、正当な利益を有しない第三者でも、債務者の意思に反することを債権者が知らないとか、債権者の意思に反する場合でも、第三者が債務者の委託を受けてることを債権者が知っているとか…
ほら!474条の話につながるわけですね。
ということで、今回の「474条の話をするなら混ぜろ!」は、理由あり、ですね(笑)
では、このいい感じの流れで474条の「未出の過去問」でお会いしましょう!
たぶん…(笑)
【同趣旨の出題】
なし
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最終更新日 : 2020-08-16