本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
「474条の改正も、「未出の過去問」がありますので、次回、ご紹介していきたいと思います。」
な~んて書いてから、バタバタで、なかなか次の更新ができませんでした。
記事的には、こちらの記事の続きになります。
ここのところ、司法書士の講義や、宅建士の講義、実務や、法務局の勤務等の仕事が立て込んで、なかなか記事が更新できませんでした。
なんとか、月末までの処理の見通しがついたので(たぶん…笑)、「未出の過去問」の続きを見てみましょう。
では、お待たせしました!久しぶりに、「未出の過去問」です。
【未出の過去問】
弁済するについて正当な利益を有する者ではない第三者が債務者の意思に反してした弁済は,債権者がそのことを知らずに受領した場合であっても,その効力を有しない。(H25-17-イ)
弁済するについて正当な利益を有する者ではない第三者の弁済が債務者の意思に反しない場合には,債権者は,その弁済の受領を拒むことができない。(H25-17-ウ)
………(考え中)………
では、正誤です。
【正誤】 イ(×)、ウ(×)
イについて 債権者が債務者の意思に反することを知らないので有効
ウについて 債権者は弁済の受領を拒める
さて、予告通り、474条の問題です。
改正474条は、旧法が2項で「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」としていた部分のルールを、大きく変更しています。
また、「利害関係を有しない第三者」という表現も、法定代位の500条の条文にある「弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者」という表現と一致させました。
500条の改正については、こちらの記事で確認して下さい。
では、旧474条を確認して、昔の正誤を確認してから、改正後の条文のルールを確認して行きましょう。

(第三者の弁済)
第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。ただし、その債務の性質がこれを許さないとき、又は当事者が反対の意思を表示したときは、この限りでない。
2 利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。
旧474条2項は、「利害関係を有しない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。」と書いちゃっています。
なので、イの肢は、債務者の意思に反している以上、弁済としての効力が生じないことになり、正誤は「〇」になります。
また、ウの肢は、債務者の意思に反しているのであれば、弁済の受領を拒めるでしょうが、設問では、債務者の意思に反していないと書かれているので、弁済の受領を拒めません。よって、正誤は「〇」になります。
ところが、このルールが大きく変わりました。
では、先に条文を確認してみましょう。
【根拠条文・判例等】(新474条)
(第三者の弁済)
第474条 債務の弁済は、第三者もすることができる。
2 弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
3 前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
4 前三項の規定は、その債務の性質が第三者の弁済を許さないとき、又は当事者が第三者の弁済を禁止し、若しくは制限する旨の意思表示をしたときは、適用しない。
1項は、前とほぼ同じ。3項、4項が新設されていますね。
ここで、注目は、2項と3項のルールです。
まず、「債務者」側の話なのか、「債権者」側の話なのか、条文を読み間違えないようにしましょう。
まずは、2項の解説から。もう一度、2項を「債務者」、「債権者」という言葉に注意しながら読んでみましょう。債務者を赤文字、債権者を青文字で分けてみます。
弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、債務者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは、この限りでない。
簡単にまとめると、
正当な利益を有しない第三者の弁済が、債務者の意思に反する場合
①原則、無効
②債権者が知らないのであれば、有効
こんな感じですね。
例えば、バカ息子の借金をオカン(※)が返すようなケースで、バカ息子が嫌がっていることを借金取りが知らないのであれば、受け取ってOKってイメージですね。※大阪の方言 母
なので、イの肢は、債権者が知らないわけですから弁済が有効になって、正誤は「×」に変更されます。
では、次に3項の解説です。同じように、「債務者」、「債権者」の言葉に注意しながら、読んでみましょう。
前項に規定する第三者は、債権者の意思に反して弁済をすることができない。ただし、その第三者が債務者の委託を受けて弁済をする場合において、そのことを債権者が知っていたときは、この限りでない。
さて、こちらも簡単にまとめると、
正当な利益を有しない第三者の弁済が、債権者の意思に反する場合
①原則、無効
②債務者の委託を受けていることを、債権者が知っているのであれば、有効
このようなルールになります。
例えば、バカ息子の借金をオカンが委託を受けて返すようなケースで、借金取りが、オカンがバカ息子の委託を受けて来ていることを知ってるのであれば、弁済が有効ってイメージですね。
ただ、この3項は、債権者が受領しないことができるという原則に意味があります。
つまり、客観的に、「正当な利益を有していない第三者」であれば、債務者の意思に反するかどうかが確認できない場合に、受け取りを拒否できることに意味があります。
なので、ウの肢は、債権者は、「正当な利益を有していない第三者」の弁済であれば、拒否れるのが原則です。よって、正誤は「×」になります。
「債務者」だの、「債権者」だの、条文がややこしくなっているので、キッチリ整理しておきましょう!
では、また次の「未出の過去問」でお会いしましょう!
【同趣旨の出題】
なし
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最終更新日 : 2020-08-28