事業承継に絡む養子縁組のご相談。
養子縁組で必要となる書類等、必要な手続きをご説明した後、ふと疑問が…。
ここで問題です。
【問題】
配偶者のある者が養子となるには,原則として,配偶者の同意を得なければならない。
どうでしょう。
ちなみに、H13-20-ウを確認してみます。
【H13-20-ウ】
配偶者のある者が成年者を養子とするには,原則として,配偶者の同意を得なければならないが,配偶者が心神喪失の状態にありその意思を表示することができないときは,その同意を得ないで縁組をすることができる。
【正誤】正しい(796条)
お客さんからの相談を受けて、恥ずかしい話ですが、ちょっと分かった気になっていました。
何が!?って?(笑)
配偶者がある者が「養親」になる場合の配偶者の同意は、上記の通り、過去問でも出題されているので覚えています。
また、「配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組」も、鉄板の知識なので覚えています。
H13-20-イを確認してみます。
【H13-20-イ】
配偶者のある者が未成年者を養子とするには,原則として,配偶者と共に縁組をしなければならないが,配偶者の嫡出である子を養子とするときは,単独で縁組をすることができる。
【正誤】正しい(795条)
条文を確認してみましょう。
(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第795条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
なんとなく、795条の「配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組」のイメージが強すぎて、場面設定として、いつのまにか、795条は配偶者のある者が未成年者を養子に、796条は配偶者のある者が成年者を養子に、というイメージにすり替わっていることに気づかされました。
恥ずかしい…。
ちょっと、民法796条を確認してみましょう。
(配偶者のある者の縁組)
第796条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
「配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意」と、単に「縁組」と書かれているので、配偶者のある者が養親になる場合もあれば、養子になる場合もあるわけですよね。
つまり、最初の問題では、養子となる場合にも配偶者の同意が必要となります。
この796条は、H8-19-2でも出題されているのですが、やはり場面設定は、配偶者がある者が養子を受け入れる場面。
いつの間にか、配偶者がある者は養親になるものと決めつけている自分がいました。
ちょっと、決めつけはよくないですね。
決めつけ、分かった気になっているのは危険ですが、このようにお客さんの前で恥をかく機会がないと、なかなか自分では気づけないものです。
皆さんも、自分が分かった気になっていないか、条文を丁寧に読むように気をつけて下さいね。
以上、ちょっと恥ずかしい話でした(苦笑)


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最終更新日 : 2020-12-23