「令和3年度本試験 カウントダウン!ごった煮記事」です。
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今日は、「最新判例」を確認してみましょう。
民法の不法行為から2つ、「最判令2年2月28日」と「最判令2年7月9日」です。
今年の債権各論の出題は、契約の解除や担保責任、賃貸借契約や不法行為と、
有力馬が多数、登録されているので、ちょっと楽しみですね。
予想記事は、また別記事にあげましょう。
不法行為の出走サイクルは、「12→H13→H16→H21→H22→H28→H31」なので、
今年は、勝ち負けです。
そんな論点の最新判例なので、気になるところですね(笑)
最判令2.2.28
被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え,その損害を賠償した場合には,被用者は,使用者の事業の性格,規模,施設の状況,被用者の業務の内容,労働条件,勤務態度,加害行為の態様,加害行為の予防又は損失の分散についての使用者の配慮の程度その他諸般の事情に照らし,損害の公平な分担という見地から相当と認められる額について,使用者に対して求償することができる。
全文
この判例が出るまでは、
「被用者が損害を賠償した場合、使用者に対して求償することはできない。」とされていました。
でも、この判例の登場によって、一定の要件のもと、「被用者が損害を賠償した場合でも、使用者に対して求償することはできる。」ことになります。
よって、下記の過去問の正誤が変更となります。
【S58-6-5】
甲タクシー会社の運転手乙が,乗客Aを乗せて走行中,丙運転の乗用車と衝突してAを負傷させたが,その事故は,もっぱら乙及び丙の過失に基づいて生じたものであった。
乙と丙がそれぞれAに対して損害の一部ずつを賠償したときは,乙及び丙は,それぞれ甲に対して求償権を行使することができる。
正誤 ○(最判昭63.7.1、最判令2.2.28)
では、次の判例です。
最判令2.7.9
交通事故に起因する後遺障害による逸失利益につき定期金による賠償を命ずるに当たっては,事故の時点で,被害者が死亡する原因となる具体的事由が存在し,近い将来における死亡が客観的に予測されていたなどの特段の事情がない限り,就労可能期間の終期より前の被害者の死亡時を定期金による賠償の終期とすることを要しない。
全文
この判例が注目されたのは、一般に、実務上、損害賠償は、「一時賠償の原則」があり、
後遺障害による逸失利益の場合には一時金賠償(損害賠償金を1回でポン!と払う方法)、
将来の介護費用の場合には定期金賠償(将来にわたって定期的に支払う方法)の傾向が強い中、
後遺障害の逸失利益でも定期金賠償の対象となるか?について、これを認めた点です。
最判令2.7.9
交通事故の被害者が後遺障害による逸失利益について定期金による賠償を求めている場合において,不法行為に基づく損害賠償制度の目的及び理念に照らして相当と認められるときは,同逸失利益は,定期金による賠償の対象となる。
この判例と関連する「最判平8年4月25日」と「最判平11年12月20日」は、
いずれも、平成13年に出題されているので、この「最判令2年7月9日」も試験対策として、
絶対にハズせません。
【H13-14-ウ】
交通事故の被害者の後遺障害による財産上の損害賠償額の算定については,その後に被害者が第二の交通事故により死亡した場合には,就労可能期間の算定上その死亡の事実を考慮すべきではない。
正誤 ○(最判平8.4.25)
【H13-14-オ】
交通事故により介護を要する状態となった被害者がその後に別の原因により死亡した場合でも,その相続人は,死亡後も平均余命に至る期間までの介護費用の賠償を請求することができる。
正誤 ×(最判平11.12.20)
今年、不法行為が出題されるなら、このあたりの判例は、ど真ん中で聞いてくるかもしれません。
しっかりと確認しておきましょう!
令和3年度本試験まで
残り 36日
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最終更新日 : 2021-06-16