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2021-06-12 (Sat) 11:05

令和3年度本試験 カウントダウン!ごった煮記事(その26)

最新判例って言っても、「最判平30年10月19日」の判例なので、ちょい昔の判例って感じですね(笑)

ただ、民法の遺留分の判例なので、押さえておきたいトコロです。

ちなみに、僕の誕生日の…もう、このノリは、いいですね(笑)

遺留分の出題自体は、

H25→H28→H29なので、

最終がH29からの4年サイクルで、本命さんです。

なので、ちょい古くても、ここで見ておきたい判例ですね。

試験的には、いいタイミングかもしれません。

では、「裁判要旨」をご紹介しましょう。

共同相続人間の無償による相続分の譲渡が、遺留分の算定の基礎となる財産額に算入すべき贈与に当たるか否かが争われました。


最判平30.10.19
 共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は,譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き,上記譲渡をした者の相続において,民法903条1項に規定する「贈与」に当たる。

全文


相続人の間のモメごとですね。

人物設定を変えて、カンタンに、何でモメているのか確認してみましょう。


ケンカの原因(人物設定を変えて)

❶お父さんが死にました。相続人は、お母さんと、お兄ちゃんと、弟くんの3人。

❷お父さんの相続のときに、お母さんはお兄ちゃんに、タダで相続分を譲渡して、遺産分割から離脱。

❸その後、お母さんも死亡。お母さんの遺産はナシ。

❹ここで、弟くんが、「お父さんの相続のときにした、お母さんがしたお兄ちゃんへの相続分の譲渡は、特別受益にあたるんだ!だから、遺留分の算定となる相続財産になるんだ!」と言って、遺留分減殺請求(現:遺留分侵害額請求)しました。

❺でも、お兄ちゃんは、「相続分の譲渡は、特定の財産をもらったわけじゃないから、贈与とちゃうやろ!」って、遺留分減殺請求(現:遺留分侵害額請求)を否定!


こんな感じです。

ややこしいですが、要は、お母さんが死んだときに、お母さんの遺産が何もなかったので、弟くんは何ももらえてません。

それが納得できないわけです。

って、お母さんの遺産がナイのは、お父さんの相続のときに、本来、お母さんがもらえる相続分(2分の1)を全部、タダでお兄ちゃんにあげちゃったことが原因だから…(笑)

でも、お兄ちゃんは、「贈与」って、「お金とか、不動産とか、特定の財産をもらうことを言うんやろ!オレがもらったのは、お母さんの相続人の地位だ!そんなもん贈与ちゃう!って言い返したわけです。

だって、相続分の譲渡をした後に、遺産分割をすることによって、個々の遺産に対する権利を確定的に取得するわけだから、相続分の譲渡だけだと、まだ、確定的にもらってないじゃん!っていうのがお兄ちゃんの言い分。

それに、相続分の譲渡の後、遺産分割すれば、相続開始時に遡って、お父さんから直接、相続することになるので、お母さんから贈与を受けたものではないはずです。


確かに…。

でも、下の事例と比較してみて下さい。


事例を変えて

❶お父さんが死にました。相続人は、お母さんと、お兄ちゃんと、弟くんの3人。

❷お父さんの相続のときに、その遺産の現金1000万円を、法定相続の割合で分けました。そして、お母さんは、法定相続(2分の1)で取得したお金(500万円)をお兄ちゃんに贈与しました。

❸その後、お母さんも死亡。お母さんの遺産はナシ。


さっきの事例と異なるのはの部分です。

この場合、弟くんの遺留分の主張は可能でしょう。

要するに、


お兄ちゃんに、具体的な現金500万円ってカタチで贈与したら、弟くんは、遺留分の主張ができて、

包括的、抽象的に、タダで相続分の譲渡したら、弟くんが遺留分の主張ができない、


お母さんがあげたものが、具体的なのか、包括的なのか、その違いだけで結論が変わるのは、

これって、バランスが悪いよね?って話です。

そこで、「最判平30年10月19日」は、相続分の譲渡も、903条1項の贈与にあたる、としました。

ただ、相続分の譲渡って、相続人の地位なので、お母さんの相続分2分の1と言っても、

プラスの財産もあれば、借金のようなマイナスの財産も含むことになります。

相続分の2分の1を計算したら、「結局、借金の方が多かった。」なんて場面では、

「贈与」になるのはおかしいので、判例は、

譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き」って書いているわけですね。


個人的には、ものすごく納得できる判例の結論です。


令和3年度本試験まで
残り 22



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最終更新日 : 2021-06-16