「令和3年度本試験 カウントダウン!ごった煮記事」です。
令和2年度のオススメ記事
今日は、「最新判例」を確認してみましょう。
民事訴訟法から、「最判平31年3月5日」の判例です。
前回、民法の遺留分からの判例をご紹介したので、
今回も、遺留分つながりで、民事訴訟法から判例をご紹介。
内容的には、「訴えの利益」のところなので、最近の流行りの分野です。
訴えの利益の判例は、
H19→H23→H30で真正面から出題。
H19が訴えの却下、H23とH30が確認の訴えになっています。
さらに、H28でも判例が設問単位で問われているので、
本命まではいかないものの、ヒモとしてはオモシロイ感じです。
今回、ご紹介している判例以外にも、未出の判例はあるので、
訴えの利益の判例は、要チェックですぞ!
では、「裁判要旨」をご紹介しましょう。
「養親の相続財産全部の包括受遺者が提起する養子縁組の無効の訴えと訴えの利益の有無」が争われました。
最判平31.3.5
養子縁組の無効の訴えを提起する者は,養親の相続財産全部の包括遺贈を受けたことから直ちに当該訴えにつき法律上の利益を有するとはいえない。
全文
う~ん、分かったような…分からないような…(苦笑)
ちょっと説明を加えましょう。
この判例の前提として、昭和63年の判例があります。
最判昭63.3.1
第三者の提起する養子縁組無効の訴えは、養子縁組が無効であることによりその者が自己の身分関係に関する地位に直接影響を受けないときは、訴えの利益を欠く。
全文
要するに、
養子縁組の無効の訴えは、縁組当事者以外の第三者でも提起することができるトコロ、
養子縁組が無効であることによって自己の身分関係に直接影響を受けないのであれば、
訴えの利益がないですよ、ってコト。
ざっくり書くと、養子縁組の無効の訴えで、身分関係に直接影響がない人は黙っといて!って感じですね。
そこに、今回の平成31年の判例です。
ちょっと事案を、ざっくり確認してみましょう。
人物関係は、ちょっとイジッテいます。ホントは、養子Yも亡くなっています…。
でも、生きているテイで考えて問題はありません。
事案の説明(ざっくり)
❶A(被相続人)は、Xに相続財産全部を遺贈する遺言書を作成しました。包括遺贈ですね。
ここでのポイントは、AとXに親族関係がないことです。
❷その後、Aは、Yを養子とする養子縁組します。
❸Bが死亡。
❹Xは、遺言に基づいて、Aの全財産の包括遺贈を受けました。
❺Yは、せっかくAと養子縁組したのに何ももらえないので、Xに対して遺留分減殺請求(現:遺留分侵害額請求)の訴えを提起しました。
❻それに対して、Xは、Yの養子縁組の無効確認の訴えを提起しました。
こんな感じです。
ほら、ちゃんと、昭和63年の判例につながりましたか?
昭和63年の判例は、「養子縁組の無効の訴えで、身分関係に直接影響がない人は黙っといて!」ってコトだから、
今回も、養子縁組の無効確認の訴えがどうであれ、
Xの身分関係には直接影響がありません。
そりゃ~、遺留分減殺請求(現:遺留分侵害額請求)されるか、されないかでは、
受け取れる財産が影響あるので、養子縁組の無効確認の訴えは重要かもしれません。
でも、身分関係には影響がないじゃん!ってコト。
遺留分減殺請求(現:遺留分侵害額請求)を受けることによって、
自己の財産上の権利義務について、影響があっても、身分関係には直接影響はナイというコト。
そして、Xとしては、
Yが提起した遺留分事件の中で、養子縁組の無効を主張すれば問題は、ナイと、
考えることになります。
令和3年度本試験まで
残り 20日
●TACのホームページでもブログを書いています。
受験と実務をつなげるブログです。ぜひ。
●受講生時代のブログも残っています。
スポンサーサイト
最終更新日 : 2021-06-16