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2021-06-20 (Sun) 12:36

令和3年度本試験 カウントダウン!ごった煮記事(その33)

民法から、「最判令3年1月18日」の判例です。

実務的に重要とされている判例です。

今年の試験的には、「………」って感じ(笑)

なんで、今年の試験的には、「………」かと言うと、遺言の判例だから。

昨年(令和2年)は、「遺言の撤回・取消し」が出ています。

サイクル的には、「H13→R2

そして、一昨年(平成31年)は、「遺言の方式」が出題されました。

サイクル的には、「H20→H31

H29にも「遺言の効力」の問題が出題されて、最近、ちょっと出過ぎかな~って感じ(笑)

相続の出題予想としては、相続人の判断や、遺産分割遺留分が本命として控えているので、

ちょっとナイかなぁ…って感じです。

じゃあ~、なぜ紹介する!?って話ですが、

お伝えしたいことがもう一つあるからです。

それは、判例の年月日です。

あっ…僕の誕生日とは関係ありません(笑)

最判令3年1月18日」って、今年に入ってすぐの判例です。

今年の試験で、いつまでの判例を押さえておくべきか?のお話です。

この問題については、「H18-10」の民法の問題が参考になります。

ちょっと問題の導入部分を見てみましょう。


午前H18-10
 Aは、B名義で登記されているB所有の甲土地につき、平成元年4月1日、所有の意思をもって、善意で、過失なく、平穏に、かつ、公然と占有を開始し、その後も、その占有を継続している。この事例に関する次のアからオまでの記述のうち、判例の趣旨に照らしCの請求が認められないものの組合せは、後記1から5までのうちどれか(なお、Aの占有は、次のアからオまでの請求の時まで継続しているものとし、Cは、Aの占有につき善意であったものとする。また、Aにつき甲土地の取得時効が成立する場合には、Aは、取得時効を援用したものとする。)


この問題は、B名義の不動産をAが時効でゲットする問題です(笑)

そして、Cは、時効完成前の第三者とか、時効完成後の第三者として、ア~オに登場してきます。

通常、時効取得の問題は、占有をしているAの善意や悪意を問題とするはずです。

でも、問題文をみると、Cの主観を書いています。

なぜ…?

それは…この判例が出たことが影響していると考えられます。


最判平18.1.17
 甲が時効取得した不動産について,その取得時効完成後に乙が当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した場合において,乙が,当該不動産の譲渡を受けた時に,甲が多年にわたり当該不動産を占有している事実を認識しており,甲の登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情が存在するときは,乙は背信的悪意者に当たる。

全文


ここで、乙は、「H18-10」の「C」に対応しています。

「不動産の取得時効完成後に当該不動産の譲渡を受けて所有権移転登記を了した者が背信的悪意者に当たる場合」についての「最判平18年1月17日」です。

つまり、

H18-10」は、「最判平18年1月17日」の判例の内容を意識して、Cの主観を「なお書き前段」で書いたと思われます。

そうなると、司法書士試験の対策として、その年の1月くらいまでの判例は確認しておきたいところです。

ということで、今回は、今年の試験では出ないと思う、「最判令3年1月18日」の「遺言の判例」ご紹介をしてみました。

って…まだ、ご紹介していないですね(笑)

あっ、ちなみに…先ほどの「最判平18年1月17日」は、「H26-8-エ」で出題済みです。

ちょっと、確認しておきます?

取得時効と登記」の出題は、「H12→H18→H26」なので、本命かもしれません。


午前H18-26ーエ
 A所有の甲土地の所有権についてBの取得時効が完成した場合に関する次のアからオまでの記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものは,幾つあるか。

エ 当該取得時効が完成した後にCがAから甲土地を買い受け,その旨の所有権の移転の登記がされた場合には,Bが多年にわたり甲土地を占有している事実をCが甲土地の買受け時に認識しており,Bの登記の欠訣を主張することが信義に反すると認められる事情があっても,Bは,Cに対し,時効により甲土地の所有権を取得したことを主張することはできない。

解答 × この場合のCは背信的悪意者にあたる。



さて、今回の判例に戻りましょう。

きっと、出ない今年の最新判例です(笑)


最判令3.1.18
 遺言者が,入院中の日に自筆証書による遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後(全文等の自書日から27日後)に押印したなど判示の事実関係の下においては,同自筆証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに同自筆証書による遺言が無効となるものではない。

全文


自筆遺言証書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって同証書による遺言が無効となるものではないとされた判例です。

そんなに難しい判例ではないと思います。

簡単に書くと、

平成27年4月13日に、病院で自筆証書遺言を作成して、全文、日付、氏名を自書しています。

そして、病院を退院して、

平成27年5月10日に、ハンコを押しています。

弁護士の立会いの下、実印を押したようです。

で、

平成27年5月13日に死亡。

ホント、亡くなるまでがあっという間…。いろいろ考えさせられる判例です。

でも、モメゴトの原因は、

遺言の内容が、内縁の奥さんや、その間の子供たちに遺贈(または相続)する内容で、

妻や、その間の子供たちにとっては、腹立たしい遺言の内容になっています。

そりゃ~怒るよな…って感じ。

で、遺言の内容をみると、日付が「平成27年4月13日」になっているのに、

ハンコは「平成27年5月10日」に押している…

おかしいだろう!っていうのが、妻や、その子供たちの言い分。

だって、ハンコを押したのが「平成27年5月10日」なら、遺言の作成日は、この日でしょ?

だから、内縁の奥さんや、その子供たちへの遺贈(または相続)する遺言は無効だ!って、争っています。

で、結論は…。

遺言者の真意が優先されます。

判例も、このように述べています。

「自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書並びに押印を要するとした趣旨は,遺言者の真意を確保すること等にあるところ,必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは,かえって遺言者の真意実現を阻害するおそれがある。」


実務上も、遺言の内容でモメたときには、「遺言者の真意を確保」を考えることが多いです。

戸籍上の妻は、ザンネンですが、妥当な結論です。


令和3年度本試験まで
残り 14



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最終更新日 : 2021-06-20