こんにちは。新企画!令和2年度の本試験出題予想論点です。
今日は、「民法の債権総論」の範囲を予想してみましょう!
大きな改正があったところなので、きっと皆さんの準備は万全だと思っています(笑)
債権総論の範囲では、「保証」がありますが、この取捨については、番外編の記事に書いていますので、そちらでご確認下さい。
【過去の令和2年度予想記事のリンク】
【平成28年度出題からのサイクル予想】
司法書士試験は、4年サイクルを意識するところから予想が始まります。過去問を見ても4年サイクルを意識するとメリハリがついてくることが分かります。
では、平成28年の債権総論の範囲の出題を確認してみましょう!
(平成28年度の出題 民法債権総論)
債務不履行による損害賠償 ・ 連帯債務と連帯保証の異同
さて、今日も、ここから令和2年度の出題予想を始めましょう。
まず、4年サイクルからの本命は、連帯債務でいいと思います。◎です。
ただ、番外編の記事でも書いた通り、H28と同じように、ヒモで連帯保証を連れてくる可能性があります。
最近の債権総論は比較が多いような気がします。
H26 債権者代位権と詐害行為取消権の比較
H26 債権譲渡と更改の比較
H28 連帯債務と連帯保証の比較
債権法の改正の内容を贅沢に問うなら、比較のカタチで広く知識を確認してもいいのかなぁ~と思います。
まぁ、受験生にとっては、広く問われるのは迷惑な話かもしれませんが…(笑)
もう一つのH28に出された債務不履行による損害賠償は、H28→H29と連続で出走しているので、疲労がたまっているので、ここは、(注)とします。
一応、僕の中上級講座では△の印をつけています。さすがに、4年サイクルの論点で×はつけれないので△にしましたが、う~ん…って感じです。
よって、ここは債権総論の本命◎で、連帯債務を推してみます。
【その他の気になる出題サイクル予想】
その他の論点として有力馬は、債権者代位権、詐害行為取消権、債権譲渡、弁済、相殺あたりで、いずれも改正も影響して、勝ち負けレベルでしょう。
ちょっと、サイクルを確認してみます。
債権者代位権 H12→ H 17→ H 22→ H 26 (詐害・代位 )→H29
詐害行為取消権 H11→ H 14→ H 24→ H 26 (詐害・代位 )→H 30
債権譲渡 H19→ H 22→ H 26(債権譲渡・更改)→ H 31
弁済 H15→ H 17→ H 21→ H 25→ H 30
相殺 H5→ H 12(推 )→H 16(推)→ H 20(推)→ H 24→H 27
最後の出走からのレース間隔だけで見ると、本命は相殺、対抗は債権者代位ということになります。
ただ、相殺については、気になるのが「H 12(推 )→H 16(推)→ H 20(推)」の部分。
いずれも、オリンピック論点と呼ばれた論点で、「差押えと相殺」の推論問題です。
(※「差押えと相殺」の推論問題については、番外編で、記事を準備する予定です。)
最近の民法は推論問題が少ないですね。相殺の出題で推論問題以外のサイクルを見ると、
H5→ → H 24→H 27
と、意外と出題が少ない感じがします。
出るとすれば、改正を盛り込んで、「悪意による不法行為に基づく損害賠償」や「人の生命又は身体の侵害による損害賠償」を絡めた出題となりそうですね。
相殺の知識問題が少ないことを考えれば、レース間隔は近いですが、債権者代位の方が本命かもしれません。
また、債権法改正の出題元年ということで、債務不履行責任を全般的に問う問題があるかもしれません。
よって、僕の印は、
◎債権者代位権
〇相殺
▲債務不履行責任
こんな感じです。
ちなみに、競馬を知らない方もいらっしゃると思うので、▲の印は、◎にも勝てるくらい強いお馬さんであることを補足しておきます(笑)
あっ、僕の中上級講座の受講生さんは、債務不履行の中でも、◎を別途指摘しているので、そこはしっかりと仕上げておいて下さいね。
×が3つあると思いますが、1番上の×は出ないと思います。
残りの2つの×は、3つ目はないと思いますが、2つ目は不安であれば、不安が解消できるレベルで、サラッと確認しておくといいと思います。
以上、まとめると、債権総論部分は、こんな感じで馬券を買います(笑)
◎連帯債務(ヒモで連帯保証)
◎債権者代位権
〇相殺
▲債務不履行責任
【改正の影響・今後の改正からの出題予想】
では、今回も改正に対応できてる?チェックです。主なところをあげておきます。チェックボックスにチェックしながら漏れがないか、確認しておいて下さい。
僕の中上級講座の受講生さんは、テキストで改正点を確認しながらチェックして、だいたいのイメージが出てくればOKだと思います。
確認しておきたい主な改正チェックポイント
(民法の債権総論の範囲)
□特定物の引渡しの注意義務
□法定利率
□不能による選択債権の特定
□履行遅滞(不確定期限がある債務)
□履行不能・履行遅滞
□受領遅滞
□代償請求権
□中間利息の控除
□債権者代位権の要件
□債権者代位権の転用
□債権者代位権の行使の範囲
□債権者代位権の訴訟告知
□詐害行為取消権の要件
□詐害行為取消権の類型
□詐害行為取消権の受益者・転得者の要件
□詐害行為取消権の認容判決の効力が及ぶ者の範囲
□詐害行為取消権の訴訟告知
□詐害行為取消権を受けた受益者の権利
□詐害行為取消権の出訴期間
□分割債権(債務)・不可分債権(債務)
□連帯債権
□連帯債務
□保証(主たる債務者が相殺権等を有する場合)
□連帯保証
□保証(債権者の情報提供義務)
□保証(保証人の求償権の範囲)
□保証(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済した場合の求償権)
□保証(求償権と通知)
□個人根保証契約
□事業に係る債務についての保証契約
□債権譲渡の譲渡制限の意思表示
□将来債権の譲渡
□債権の譲渡(債務者の抗弁の切断 ※削除)
□債権の譲渡における相殺
□併存的債務引受 ※新設
□免責的債務引受 ※新設
□第三者の弁済
□受領権者としての外観を有する者に対する弁済
□代物弁済 ※諾成契約
□弁済による代位の要件・効果
□一部弁済による代位
□相殺(相殺制限の意思表示)
□相殺(不法行為等により生じた債権の場合)
□相殺(差押えと相殺)
□更改
【確認しておきたい未出判例・新判例・先例等からの出題予想】
※未出の知識は択一解法の軸にしてはいけません。あくまで保険です。取り扱い注意です!
まず、未出の判例で気になるのは、詐害行為取消権で出てくる債権譲渡の通知が詐害行為取消権の対象とならないと判断した判例(最判平10.6.12)です。かなりのオオモノです。
お馬さんで言えば、サンデーサイレンス産駒、いや、今でいえば、ディープインパクト産駒って感じです。
ただ、令和2年度は、見(ケン)かな~。
中上級講座理論編のテキストをお持ちの方は、民法理論編民法Ⅱp69(注)に未出の平成27年判例があるので一応、チェックです、印としては(注)です。
債権譲渡のところでも、2回ほど出ているディープインパクト産駒の判例(最判昭55.1.11)のライバル馬となるキングカメハメハ産駒の未出の判例(最判平5.3.30)がいますが、ちょっと問題では出しにくい感じがします。こちらも、見(ケン)か…。
受領権者としての外観を有する者に対する弁済(旧債権の準占有者への弁済)は、判例がかなりあるので、念のために確認です。民法理論編民法Ⅱp116~117あたりです。印としては、△で連下ですね。
また、意外と◎が打てそうな未出の判例があったのですが、こちらは未出のまま、明文化されちゃいました(最判昭60.5.23→502条3項)。ちょっと、判例から明文化されてしまうと◎が打ちにくくなりますね(笑)
でも、弁済では、もう一つ、◎で推せる判例があるので、チェックしておいて下さい。
理論編民法Ⅱp125の判例です。
あれ?未出の判例が2つありますか?下の平成9年判例の方です。
整理するときには、連帯債務の判例ですが、4回出ている判例(最判昭34.6.19)と一緒にまとめておくといいと思います。考え方は真逆ですが…(笑)
相殺が出てくるとすれば、理論編民法Ⅱp127(注)・p128(注1)の未出の判例は押さえておきましょう。
相殺の未出の判例としては、理論編民法Ⅱp133もありますが、いずれも、その周辺の知識は過去問で頻出なので、気にしながら確認しておいて下さい。
【馬券師まらやのまとめ】
まずは、債権法の改正をしっかりすることでしょう。
特に、債務不履行責任、賠償額の予定、他の連帯債務者の相殺の援用等のように、旧民法から考え方が変わった部分や、債権者代位権の要件、債権譲渡の異議を留めない承諾等のように規定が削除されている部分、また、詐害行為取消権、弁済による代位の効果等のように判例の考え方が変更された部分については、しっかりと確認しておく必要があります。
特に詐害行為取消権は、転得者への要件、認容判決の効力が及ぶ者の範囲は、判例の考え方が大きく変わっているので、気を付けて下さい。
不動産登記の記述で対応が必要となるかもしれません。
また、弁済による代位のルールについても、択一で3回、記述の試験でも問われた、保証人が抵当権の設定された不動産の第三取得者に対して代位する場合の判例(最判昭41.11.18)が変更されています。あの「あらかじめ抵当権の移転の付記登記は必要かな?」って話です。
こちらも不動産登記の択一での対応になりますね。
さらに、多数当事者の債権・債務の絶対効や相対効の考え方も一部変更があるので、見落としがないように整理しておきましょう。
大変だと思いますが、頑張って下さい!
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最終更新日 : 2020-05-31