こんにちは。
前回の記事で書いた通り、相殺の出題はH12→H16→H20と、推論問題が出題されました。
皆さんの中には、「推論問題が苦手だぁ!」なんて方もおられると思います。
ここで、そんなあなたにワンポイントアドバイス(笑)
民法の推論問題は超カンタンです。
せっかくなので相殺の「差押えと相殺」の過去問を使いながら、民法の推論問題対策の仕方を考えてみましょう。この問題は、制限説と無制限説(判例)の戦いですが、債権法の改正で、判例が明文化されているので、確認しておいて下さい。民法の推論問題対策の素材として使っていくには、「差押えと相殺」は、いい問題だと思います。
まぁ、推論問題といえば憲法だとは思いますが、憲法の場合は、ここに書いてある方法でなく、
ちょっとした解き方のコツをマスターすれば、グッと正答率は上がると思います。
憲法の推論問題対策は、また別の番外編で書くとして、とりあえず、今日は、民法の推論問題対策です。
まず、過去問を準備して、それぞれの設問をキーワードで整理してみて下さい。
………(整理中)………
できましたか?僕の整理はこんな感じです。
H12の設問、H16の設問、H20の設問を同じことを問うているグループに分けてみました。
グループA 「不誠実な銀行はけしからん!」グループ
このグループは、「不誠実」や「債務不履行を助長」、「遅延損害金」などの言葉がキーワードになります。債務不履行までして相殺をする銀行はけしからん!って考え方です(笑)
(H12-ア)弁済期にある債務の支払を怠りつつ,相殺適状に達するのを待って相殺をすることを認めることは,不誠実な債務不履行を助長することになる。
(H16-ア)債務不履行のあった債務者については,遅延損害金が発生することにより,利害の調整が図られている。
(H20-イ)この見解に対しては,債務不履行を助長するとの批判がある。
(H20-エ)この見解は,不誠実な債務者の期待は保護に値しないことを理由とする。
グループB 「銀行の相殺の期待の保護」グループ
このグループは、「有利」、「期待の保護」などの言葉がキーワードになります。銀行の相殺の期待を保護しようぜ!って考え方です
(H12-ウ)甲債権を差し押さえたCが,甲債権の債権者であるAよりも有利な立場に立つべきではない。
(H16-エ)相対立する債権を有する者は,互いに,債権を相殺によって回収することを期待しているから,その期待を保護すべきである。
(H20-オ)この見解は,他方の見解よりも,相殺に対する期待を強く保護しようとするものである。
グループC 「銀行より差押債権者の保護を!」グループ
このグループは、「一般債権者」、「差押債権者」などの言葉がキーワードになります。
(H12-ウ)甲債権は,Aの一般財産を構成しており,Cを始めとするAの一般債権者にとっての引当てとなっている。
(H16-エ)公示のない優先弁済権を広く認めることは,差押債権者を害する結果となる。
グループD 「条文の文言」グループ
このグループは、「511条」、「文言解釈」などの言葉がキーワードになります。
ただし、今回の債権法の改正によって、差押えと相殺の優劣について「無制限説(最大判昭45.6.24)」を採用したことを明言しています。
(H12-エ)民法第511条は,差押え後の相殺を例外的に制限する規定であり,限定的に解釈すべきである。
(H16-ウ)民法第511条の規定を文言どおり解釈すべきである。
(H20-ア)この見解は,他方の見解よりも,条文の文言解釈から導きやすい。
どうでしょうか?
整理すると分かるのですが、民法の推論問題は、同じ理由、同じ批判が繰り返し聞かれます。
極論を言えば、民法の推論問題対策は、過去問の肢の暗記です。
民法の推論問題が苦手な人は、その推論問題が問われる時に出てくるキーワードをしっかり押さえておきましょう。
これで楽勝でしょ?(笑)
抵当権の物上代位のあたりには、1回しか出ていないH19の「転貸賃料債権への物上代位の推論問題」や、H20の「物上代位の差押えの趣旨」のように、1回の出題+判例の見解で問われていないので第3説(判例)も準備しておく必要があるものもありますが、
全体的に、民法の推論問題は楽勝です。
推論問題は考えるから難しいわけで、ましてや、「推論問題は国語力」とか言われちゃうと、国語力がない僕なんかは、凹みます(笑)
考える作業から、単なる暗記作業に変えちゃったら楽勝!ってわけです。
民法の推論問題はこれで対策がしやすくなったと思います。
憲法の推論問題は、出たとこ勝負になるので、暗記勝負ではなく、解法勝負になります。
また、憲法のところでご紹介します。
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最終更新日 : 2020-05-28