
「(新シリーズ)ここが変わるよ。○○法~司法書士の未来は明るい」です。
「ここが変わるよ。○○法~司法書士の未来は明るい」とは。
今後予定されている民法・不動産登記法の一部改正の内容を見ることにより、司法書士試験へのモチベーションアップをはかる記事である。
では、前回の続きで、民法の改正を中心で見て行きましょう。
不動産登記法の改正は、TACブログの方でアップされているので、そちらもご覧下さい。
今回は、今、ご紹介している相隣関係規定の見直しの中では、新設の規定になります。
「ライフラインの設備設置権」になります。
新設の規定なので、現在の条文はナイわけですが…
まずは、この条文を見て下さい。
【現在の条文】(民法210条~213条)
(公道に至るための他の土地の通行権)
第210条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
第211条 前条の場合には、通行の場所及び方法は、同条の規定による通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
2 前条の規定による通行権を有する者は、必要があるときは、通路を開設することができる。
第212条 第210条の規定による通行権を有する者は、その通行する他の土地の損害に対して償金を支払わなければならない。ただし、通路の開設のために生じた損害に対するものを除き、一年ごとにその償金を支払うことができる。
第213条 分割によって公道に通じない土地が生じたときは、その土地の所有者は、公道に至るため、他の分割者の所有地のみを通行することができる。この場合においては、償金を支払うことを要しない。
2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
よくご存知の袋地での210条の通行権と、213条の通行権のお話です。
先に、書いておきます。
この条文は、何も改正されていません(笑)
じゃあ~なんで紹介する?って話ですが、それは、後ほど。
この通行権は、昔は「囲繞地通行権」と呼ばれていたものです。
ポイントは、ドコを通るか?お金は払う必要があるか?
その点を、210条と213条で分けて整理することが重要です。
ところで、この通行権、過去問でめっちゃ問われている判例があるのをご存知でしょうか?
過去問で7回くらい問われている、最判昭47.4.14の判例です。
直近の過去問で確認してみましょう。
【関連過去問】(H30-9-1)
他の土地に囲まれて公道に通じない土地(以下「袋地」という。)の所有権を取得した者が,公道に至るため,袋地を囲んでいる他の土地(以下「囲繞地」という。)の所有者に対して囲繞地を通行する権利(以下「囲繞地通行権」という。)を主張するためには,袋地について所有権の移転の登記をしている必要がある。
登記がモノをいう、不動産の世界ですが、
司法書士試験との関係の中では、
この「公道に至るための他の土地の通行権」と、「法定地上権の成立」の場面は、
登記はカンケーねぇ!って、確認しておきましょう(笑)
さて、この改正がない通行権、何のためにご紹介したかというと、
この条文が新設されるからです。
「ライフライン設備設置権」です。
【改正後の条文】(改正民法213条の2~213条の3)
(継続的給付を受けるための設備の設置権等)
第213条の2 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第1項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3 第1項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
4 第1項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第209条第1項ただし書及び第2項から第4項までの規定を準用する。
5 第1項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第209条第4項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。
6 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
7 第1項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
第213条の3 分割によって他の土地に設備を設置しなければ継続的給付を受けることができない土地が生じたときは、その土地の所有者は、継続的給付を受けるため、他の分割者の所有地のみに設備を設置することができる。この場合においては、前条第5項の規定は、適用しない。
2 前項の規定は、土地の所有者がその土地の一部を譲り渡した場合について準用する。
ガス、電気、水道等のような継続的給付のために、他人の土地にライフラインを設置する権利です。
特に、「袋地」であることが要件となっているわけではありませんが、
ベースは、210条の通行権や、213条の通行権と同じようなイメージでいけると思います。
また、事前通知もありますね。
覚えるのに苦労するような条文ではないので、一緒にご紹介させてもらいました。
次は、共有関係か、相続あたりを、ざっくばらんに見ていこうと思います。
お楽しみに!
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最終更新日 : 2021-08-04