
「(新シリーズ)ここが変わるよ。○○法~司法書士の未来は明るい」です。
「ここが変わるよ。○○法~司法書士の未来は明るい」とは。
今後予定されている民法・不動産登記法の一部改正の内容を見ることにより、司法書士試験へのモチベーションアップをはかる記事である。
□ 民法の改正のお話
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□ 不動産登記法等の改正のお話
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では、前回の続きで、民法の改正を中心で見て行きましょう。
共有関係の改正もあるのですが、いったん物権法の改正から離れて、
相続法の改正を見てみましょう。
まずは、この条文の改正。
【現在の条文】(民法952条・957条・958条)
(相続財産の管理人の選任)
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。
(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第957条 第952条第2項の公告があった後2か月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2か月を下ることができない。
2 (略)
(相続人の捜索の公告)
第958条 前条第1項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6か月を下ることができない。
2-2-6でおなじみ、
相続人不存在の手続きです(笑)
まず、家庭裁判所による相続財産の管理人の選任の公告(2か月)、
次に、相続財産の管理人による全ての相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告(2か月)、
で、ラストが、
家庭裁判所による相続人があるならばその権利を主張すべき旨の公告(6か月)
このような流れになっていました。
過去問的には、平成30年に、この周辺の知識が問われています。
ただ、この問題は難しかったと思います。
【関連過去問】(H30-23)
第23問 相続人の不存在に関する次の1から5までの記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものは,どれか。
1 相続開始の時に相続人のあることが明らかでない場合には,相続財産は,相続財産の管理人を選任する審判が確定した時に,法人となる。
→×(951条:相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする)
2 相続財産の管理人がその権限内で相続財産を売却した後に相続人のあることが明らかになったときは,相続人は,当該相続財産の買主に対し,その代価を弁償して,その返還を請求することができる。
→×(955条:相続財産の管理人がその権限内でした行為の効力を妨げない)
3 相続人の捜索の公告期間内に相続人としての権利を主張する者がなかった場合において,その後に,相続財産に属する金銭債務の債権者があることが相続財産の管理人に知れたときは,相続財産の管理人は,その債権者に対し,弁済をしなければならない。
→×(958条の2:相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない)
4 相続財産全部の包括受遺者のあることが明らかである場合には,相続財産法人は,成立しない。
→○(最判平9.9.12)
5 相続人の捜索の公告期間内に相続人としての権利を主張する者がなかった場合において,その後に相続人のあることが明らかになったときは,相続人は,特別縁故者が相続財産の分与を受けた後の残余財産を相続する。
→×(958条の2:相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない)
こんな感じで、「2-2-6」を真正面から聞いたことはないわけですが。
これがちょっと改正されます。
【改正後の条文】(改正民法952条・957条・958条)
(相続財産の清算人の選任)
第952条 前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6か月を下ることができない。
(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第957条 第952条第2項の公告があったときは、相続財産の清算人は、全ての相続債権者及び受遺者に対し、2か月以上の期間を定めて、その期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、同項の規定により相続人が権利を主張すべき期間として家庭裁判所が公告した期間内に満了するものでなければならない。
2 (略)
(権利を主張する者がない場合)
第958条 第952条第2項の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の清算人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
まず、「相続財産の管理人」というコトバから、「相続財産の清算人」ってコトバに変わります(笑)
これは、新しい相続財産管理制度が創設されたため、新しい相続財産管理人が登場してくるので、区別されることになりました。
ややこしい(笑)
新しい相続財産管理制度のお話は、また後日…ということで、今回は、この相続人不存在の手続きの条文の改正を見てみましょう。
イメージとしては、
2-2-6の最初の「2」と最後の「6」を同時に実施して、
それが終わるまでに、真ん中の「2」をやっちゃう感じになります。
つまり、
まず、家庭裁判所による相続財産の清算人の選任の公告(2か月)と、相続人があるならばその権利を主張すべき旨の公告(6か月)を同時にスタートさせて、
その間に、相続財産の清算人による全ての相続債権者及び受遺者に対する請求の申出をすべき旨の公告(2か月)も終わらせてしまう、
こんな感じです。
これによって、10か月以上かかっていた相続人探しの手続きが、6か月以上とグッと短くなります。
実務でも、相続人不存在の手続きは重要なので、しっかりと流れを確認しておきたいものです。
では、次回は、遺産分割の10年ルールを見ることにしましょう。
お楽しみに!
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最終更新日 : 2021-08-10