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2020-06-11 (Thu) 08:08

(新企画)ここやってる?~令和2年度出題予想(7)~(民法)相続

新企画!令和2年度の本試験出題予想論点です。

とりあえず、まだまだブログの訪問者の方が少ない感じなので、予想記事は、「民法編」でいったん休憩させて頂きます

頑張ろう!と思ったのですが、「まさか…誰も見てない!?」って思えてきて、記事の準備時間に対してコスパが悪すぎに思えてきました(苦笑)

意外と、週末のカブトムシブリーダーの方が「応援ポチ」があったりします(笑)

また、ランキングが上がって来て、訪問者が増えてきたら、予想記事は、続きの不動産登記法から書いていこうと思います。

では、民法編の最後、しっかりと予想していこうと思います!

相続法も改正が絡んでいるところですね。

知ってるよ~!大丈夫!って声が聞こえてきそうです(笑)

・自筆証書遺言は全部手書きじゃなくてもOK!署名+ハンコの登記事項証明書をつけてもいいんだよね~。

・遺留分「減殺」請求って登記原因ってなくなったんだよね~。

・遺言執行者は、相続させる遺言で相続登記していいんだよね~。

ほら、完璧でしょ!って、皆さんから、声が聞こえてきました(笑)

でも、そこじゃないです。

問題は日付。

いつの日付からですか?

例えば、今日は、令和2年6月11日ですが、

①遺言書が平成31年1月1日に作成されて、令和元年6月30日に死亡した場合、遺言によって遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求ができますか?できませんか?

②相続させる遺言が平成31年1月1日に作成されて、令和2年6月11日に死亡した場合に、その遺言書に基づいて、遺言執行者は相続登記ができますか?できませんか?

③自筆証書遺言が平成31年1月1日に作成されて、令和2年6月11日に死亡した場合に、その遺言書の一部として通帳のコピーが添付されていた場合、その自筆証書遺言は有効ですか?

サクッと回答ができるのであれば、大丈夫!と自信を持って下さい。

結論は、後ほど。まずは、出題予想から検討してみましょう!


【過去の令和2年度予想記事のリンク】


【平成28年度出題からのサイクル予想】
司法書士試験は、4年サイクルを意識するところから予想が始まります。過去問を見ても4年サイクルを意識するとメリハリがついてくることが分かります。

まず、平成28年の民法相続の範囲の出題を確認してみましょう!

(平成28年度の出題 民法相続)
相続と登記・遺留分

さて、まずは、4年サイクルの確認からです。

「相続と登記」に関しては、「○○と登記シリーズ」として、物権のところでも触れているので、そちらをご確認下さい。

通常、物権で出題されるような「○○と登記シリーズ」の1つ、「相続と登記」ですから、物権の予想記事で書いた通り、物権変動の全般問題か、あるいは、「H13→ H 25→ H 28」のサイクルの中で、物権の方で出題と、にらんでいます。

なので、相続法からの出題としては、見(ケン)で。

では、もう一頭の遺留分の出走間隔を見てみましょう。

かつての「オリンピック論点」馬でもあります。

※「オリンピック論点」については、こちらの記事も併せてお読みください。

遺留分 「H10→H12→H16→H20→H25→H28→H29

遺留分は近年の上り馬です。ここ最近だと、「H25→H28→H29」と出走間隔は短く、激走が続きますが、軸にしないとしても、ヒモとして押さえておく必要はあるでしょう。なので「○対抗馬」とします。

軸は、その他のサイクルから選んでみようかと思います。


【その他の気になる出題サイクル予想】
軸として面白そうなお馬さんは、「相続人の判断(代襲・欠格・廃除)」、「遺産分割」、「相続の承認・放棄」の3頭。いずれも、追い切りの動きはいいです(←競馬用語です。笑)

ちょっとサイクルから。

相続人の判断(代襲・欠格・廃除) 「H23→ H 24→ H 25→ H 27

遺産分割 「H11→ H 15→ H 23→ H 27

相続の承認・放棄 「H5→ H 11(限定承認)→ H 13→ H 19→ H 26

承認・放棄がちょっと弱い気もしますが、

令和元年8月9日の最新判例が、後押しをしてくれそうです。

【最判令元.8.9 裁判要旨】
 民法916条にいう「その者の相続人が自己のために相続の開始があったことを知った時」とは,相続の承認又は放棄をしないで死亡した者の相続人が,当該死亡した者からの相続により,当該死亡した者が承認又は放棄をしなかった相続における相続人としての地位を,自己が承継した事実を知った時をいう。


ただ、最近の試験の傾向は、最新判例や最新先例は、すぐに出さない傾向が多いので、相続の承認・放棄はヒモと判断します。

平成31年の試験も、比較的新しい、花押の判例(最判平28.6.3)が出ていましたが(H31-22-イ)、それでも3年後の出題です。すぐの出題は避けているような気がします。

ここは、「相続人の判断」か、「遺産分割」から本命を探したいところです。

相続人の判断は、どっちにしても記述対策として必要だと思いますので、あえて対策は必要がないと思うので、ここは、◎本命に「遺産分割」を推してみようかと思います。

僕の購入馬券
◎ 遺産分割
〇 遺留分
▲ 配偶者居住権
△ 相続の放棄・承認
△ 相続人の判断(代襲・欠格・廃除)

あのぉ~、突然、知らないお馬さんが乱入してるんですけど…って感じですね(笑)

「配偶者居住権」は出すなら、今年は先例の発出時期との兼ね合いで、不動産登記法ではなく民法でしょう。

不動産登記法で出題するなら、「配偶者居住権」は登録免許税かなぁ~と思います。

初登録のお馬さんなので、サイクルからはその実力が分かりません。

ちょっとしたオオモノさんですね。

「キングカメハメハ」産駒くらいのイメージです(余計に分からんって…。笑)

「短期」の居住権に関しては、ベースになった気を付けたい判例も含めて、物権の予想の所に書いているので、そちらでご確認下さい。

「短期」は、不動産登記法では聞けないので、民法なら、「短期」で1問もありだとは思いますが、「長期」が出てないのに、ちょっとひどいなぁ~とは思います(笑)


【改正の影響・今後の改正からの出題予想】
さて、今回も主要な改正点を、□にチェックしながら確認して下さい。主に相続法の改正になりますね。なお、「自筆証書遺言書保管制度」は、令和2年7月10日施行なので、今年は関係ないです。

確認しておきたい主な改正チェックポイント
(民法の相続の範囲)
□共同相続における権利の承継の対抗要件(899条の2)
※1項だけでなく、承継される権利が債権の場面の2項も確認が必要です。
□相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使(902条の2)
※判例(最判平21.3.24)の明文化です。
□持戻しの免除の意思表示の推定
□遺産分割前に遺産に属する財産が処分された場合(906条の2)
□遺産の一部分割
□遺産の分割前の預貯金債権の行使
※平成30年11月21日法務省令第29号の内容まで確認
ここは、番外編でご紹介予定です。
□自筆証書遺言の方式の緩和
□遺贈義務者の担保責任
□遺言執行者の権利義務
※特に、1013条2項ただし書の改正は大きいですね。
□遺言執行者の行為の効果
□遺言執行者の復任権
□配偶者居住権
□配偶者短期居住権
□遺留分
※特に、相続人に対する贈与の算入期間と、遺留分減殺請求から侵害額請求に変わった部分に注意が必要です。遺留分減殺請求ができなくても、代物弁済の余地はあるので、記述で気を付けておきたいところです。
□特別の寄与


【確認しておきたい未出判例・新判例・先例等からの出題予想】
未出の知識は択一解法の軸にしてはいけません。あくまで保険です。取り扱い注意です!

気になる判例としては、上で書いた最判令元.8.9が有力馬ですね。

他には、遺留分のところに未出の判例がかたまっています。

例えば、最判平10.6.11の判例、最判平13.11.22の判例は、いつ出てもいいでしょう。

気になる方は、僕のブログのリンク先に「裁判例検索 | 裁判所 - Courts in Japan」があるので、そちらから検索して下さい。

最判平21.3.24の判例は、上で書いた通り、明文化された部分があるので、ちょっと割引が必要ですね。

判例がたまっているといえば、昔にちょっと出たことがある相続回復請求権も、論点自体が出る可能性が低いものの、未出の判例が多い(最判平7.12.5大判昭7.2.9大判昭13.4.12あたり)ので、余裕があるのであれば、念のために確認しておいて下さい。優先順位は低いので、先に他に覚えることをやってから、です。

相続の欠格事由のところでは、理論編民法Ⅱp388の⑤aの判例は、記述対策としても注意です。

記述の対策といえば、理論編民法Ⅱp444に択一で7回ほど出ている軸になる条文があると思います。択一でこれだけ出題されているので、記述の対策として準備しておきたいところです。

また、有名どころですが、最判平28.12.19最判平29.4.6は、判例変更があったオオモノさんですね。

相続法の改正の中で目立たなくなっていますが、撤回された遺言の効力に関する判例(最判平9.11.13)も重要なので確認しておいて下さい。

ただ、遺言は平成31年に「遺言の方式」が設問で出ているので、ある程度、遺言の内容を絞って勉強した方が効率がいいと思います。

遺言の内容をばらしてみると、こんな感じ(笑)

遺言の効力 H29
遺言の方式 H20→ H 31
遺言の撤回・取消し H13

ねっ!?ちょっと平成9年判例が気になってきたでしょ?(笑)


【馬券師まらやのまとめ】
さて、最後に一番最初に書いた「大丈夫!」の解答です(笑)

まず、相続法の施行日は、3つ覚えているはずです。

①自筆証書遺言の方式の緩和に関する968条は、平成31年1月13日
②配偶者居住権の規定が、令和2年4月1日
③それ以外が、令和元年7月1日

ただ、相続法の改正で覚えておかないといけないのは、新旧、どちらの相続法を適用するのか?という経過措置が重要になります。

細かいところまで確認してしまうとワチャワチャになってしまうので、とりあえず、試験的に重要なものを押さえておきましょう!

例えば、899条の2は、令和元年7月1日より前に死んでも、令和元年7月1日以降にその承継の通知がされるときは改正相続法が適用されます。(改正附則3条)。
■経過措置について【PDF】(法務省ホームページ)

(民法の一部改正に伴う経過措置の原則)
第2条 この法律の施行の日(以下「施行日」という。)前に開始した相続については、この附則に特別の定めがある場合を除き、なお従前の例による。

(共同相続における権利の承継の対抗要件に関する経過措置)
第3条 第1条の規定による改正後の民法(以下「新民法」という。)第899条の2の規定は、施行日前に開始した相続に関し遺産の分割による債権の承継がされた場合において、施行日以後にその承継の通知がされるときにも、適用する。

ね?ワチャワチャでしょ?(笑)

なので、試験に必要な範囲で整理しておきます。

自筆証書遺言の方式が緩和されるのは、平成31年1月13日以降に作成された自筆証書遺言です。

そして、遺言執行者の相続登記の権限(1014条2項)は、令和元年7月1日以降に作成された遺言に適用です。

(遺言執行者の権利義務等に関する経過措置)
第8条 新民法第1007条第2項及び第1012条の規定は、施行日前に開始した相続に関し、施行日以後に遺言執行者となる者にも、適用する。
2 新民法第1014条第2項から第4項までの規定は、施行日前にされた特定の財産に関する遺言に係る遺言執行者によるその執行については、適用しない。
3 施行日前にされた遺言に係る遺言執行者の復任権については、新民法第1016条の規定にかかわらず、なお従前の例による。


なので、施行期日より前にされた自筆証書遺言や相続させる遺言は、施行期日後に死んだとしても、改正相続法の適用はないことになります。つまり、死んだ日は関係ありません。

試験との関係では、この2つを覚えておいた上で、後は、令和元年7月1日以降に死んだかで、改正法を適用すればいいと思います。

よって、遺留分減殺請求か、遺留分侵害額請求かは、令和元年7月1日以降に死んだかで考えればいいです。

遺言書が平成31年1月1日に作成されても関係ありません。死んだのが、令和元年6月30日なら遺留分減殺請求の話、令和元年7月1日なら遺留分侵害額請求の話です。

最後に解答です。確認しておいて下さい。

①遺言書が平成31年1月1日に作成されて、令和元年6月30日に死亡した場合、遺言によって遺留分を侵害された相続人は遺留分減殺請求ができますか?できませんか?

(解答)
死んだのが施行日(R元.7.1)前なので、遺留分減殺請求になります。
なお、遺留分減殺請求の時効期間もクリアしてますよね(今日はR2.6.11)

②相続させる遺言が平成31年1月1日に作成されて、令和2年6月11日に死亡した場合に、その遺言書に基づいて、遺言執行者は相続登記ができますか?できませんか?

(解答)
遺言書の作成が施行日(R元.7.1)前なので、ムリです。相続人から委任状をもらって下さい(笑)

③自筆証書遺言が平成31年1月1日に作成されて、令和2年6月11日に死亡した場合に、その遺言書の一部として通帳のコピーが添付されていた場合、その自筆証書遺言は有効ですか?

(解答)
遺言書の作成が施行日(H31.1.13)前なので、ダメです(笑)


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最終更新日 : 2020-06-11