本日の「未出の過去問」です。
「未出の過去問」
未出の過去問とは、過去問出題後において、条文・判例等の変更により、過去問の正誤が変更されたにもかかわらず、その後、本試験で出題されていないものをいう。
(主に、過去問の買い替えをケチってるエコな方にオススメの記事である。)
「民法」と言いながら、裏切り続ける、まさかの商業登記法(笑)
ここまでくると、
ホントは、民法、やる気ないんじゃね?って感じですね(笑)
では、今日の「未出の過去問」を解いてみましょう!
【未出の過去問】(午後H20-29-イ)
日本における代表者が複数いる外国会社においては,当該代表者のうち日本に住所を有するものについてのみ,その氏名及び住所の登記の申請をすれば足りる。
………(考え中)………
どうでしょうか?外国会社の問題です。
この問題は、ちょっと事情が複雑です(笑)
皆さんのお手元の過去問集と正誤が異なるかもしれません。
では、正誤です。
【正誤】×
外国会社の日本における代表者については、日本に住所を有するものであるか、外国に住所を有するものであるかを問わず、すべての日本における代表者についてその氏名及び住所を登記すべき(登記研究737号P183)
少し説明が必要です。
過去問で出題された当時は、試験委員の意図としては、会社法933条2項2号を根拠に「×」で出題されたのですが、会社法933条1項1号かっこ書もあわせて読むと、会社法933条2項2号を根拠に「〇」になるはずです。つまり、試験委員のミスです。
試験委員もミスを認めて、正誤を「×」から「〇」に変更して正解を2個に増やしたのですが、その後、平成21年に登記研究の見解が出て、本当に「×」になりました。ウソのようなホントの話です(笑)
「×」になってからの出題はありません。
ややこしいことを書いていますが、シンプルに書くと、
試験委員が「×」のつもりで出題したら、「〇」だと言われて、試験委員が「〇」に訂正したら、結局、「×」になる見解が出て、訂正した「〇」から「×」になったので、試験委員のミスが消えて、謝り損になった、ということです。ややこしいですね。どうでもいいです(笑)
下に参考条文を書いておきますので、まずは、条文を素直に読んでみて下さい。
*********
(参考条文)
(外国会社の登記)
第933条 外国会社が第817条第1項の規定により初めて日本における代表者を定めたときは、3週間以内に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める地において、外国会社の登記をしなければならない。
① 日本に営業所を設けていない場合 日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。以下この節において同じ。)の住所地
2 外国会社の登記においては、日本における同種の会社又は最も類似する会社の種類に従い、第911条第3項各号又は第912条から第914条までの各号に掲げる事項を登記するほか、次に掲げる事項を登記しなければならない。
② 日本における代表者の氏名及び住所
*********
日本における代表者(日本に住所を有するものに限る。)の氏名及び住所を登記と読むのが自然であることが分かります。
つまり、条文上は、「〇」と判断ができるわけです。でも、登記研究の見解が、条文を否定してしまったという、「条文vs登記研究の見解」という構造です。
条文933条1項1号かっこ書を根拠に解答すれば「〇」
その後の登記研究の見解を根拠に解答すれば「×」
ということになります。
で、なぜか登記研究の見解が条文に勝っちゃいました(笑)
皆さんのお手元の過去問集は、どうですか?
込み入った事情はさておき、過去問集をひらくきっかけとして確認してもらえたらと思います。
【根拠条文・判例等】(登記研究737号P183)
外国会社の日本における代表者については、日本に住所を有するものであるか、外国に住所を有するものであるかを問わず、すべての日本における代表者についてその氏名及び住所を登記すべきである。
では、次回こそは、絶対に民法を(笑)
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最終更新日 : 2020-06-22